2012/10/29

person



Linda Fargo & Visual artist David Hoey 
10月も終わり、まもなく11月。1ヶ月後には街はクリスマス・ディスプレイでいっぱいになっているだろう。
クリスマス・ディスプレイで楽しみなのが、BERGDORF GOODMANHoliday Windows
百貨店のショーウィンドウの枠を超え、そこには不思議な世界が広がりアートとファッションが見事に融合している。まるでアート作品のよう。
このウィンドウを手掛けているのが副社長のLinda Fargoとヴィジュアル・アーティストのDavid Hoeyのチーム。LindaGoodmanで働き始めた1996年には今の様な流行の最先端をいくデパートではなく、現代的なタッチを失っていた。Lindaはヴィジュアル・アーティストであるDavidとタックを組み、5000万ドル掛けてGoodmanを美しく生まれ変わらせた。彼らは14年間ショーウィンドウのデザインを手掛けており、彼らの功績は大きい。


デザイナーであるDavid Hoeyは「この仕事は建築家でありケーキ職人である」と語っている。その言葉の通り、ディスプレイはとても緻密に計算され設計されており、きらびやかなアイテム達が施されている。道行く人も足を止めて見入ってしまう美しさ。2011年のHoliday Windowsも2年以上かけて作られており、そのこだわりはアンティークのパーツ探しから始まり、アーティストにオーダーして作られた美しいモザイクタイル、、これ以上ないという程の完璧な作り込まれた世界観。。


今までのHoliday Windowsで一番好きなのは、2009年の「Alice in Wonderland」をテーマにしたAlexander McQUEENドレスを着たこのウィンドウ
中央の螺旋階段といくつものドールハウス、アリスの不思議な世界とAlexander McQUEENの世界観とが見事にマッチしている。"ショーウィンドウ"という限られたスペースにここまでの世界観を作れるのは本当にすごい。アイデア、構成力、とても勉強になる。2012年のHoliday Windowsもまもなく公開される。今年はどんな驚きがあるのか、今から楽しみでしかたない。。

2012/10/28

photo diary

old man
平日の昼間に一人ベンチに腰掛けニュースペーパーを読む老人
隣では“誰か”の似顔絵達が規則正しく並んでいる。。

2012/10/27

art


Faking It Manipulated Photography Before Photoshop

メトロポリタン美術館でとても興味深いエキシビジョンが開催されている。
「Faking It Manipulated Photography Before Photoshop」
その名の通りPhotoshopが発明される以前にアナログで作られた実験的な写真を集めた初めての大きなエキシビジョンになる。1840年代から1990年代の間のメディアやアート、政治、ニュース、エンターテイメントなどを視覚的に捉えとても面白い写真を作り上げており、このエキシビジョンでは約200点の作品が展示される。これらの写真は2つ以上の写真を1つのプリントに作り出す多重露光やコンビネーション印刷、フォトモンタージュを使い、さらにレタッチを行っている。アナログのやり直しの効かない時代に、ここまでのクオリティーを作り出した彼らは本当に素晴らしいと改めて感じる。


展示リストの中で気になるのはMaurice Tabardの作品。彼の作品には多くの女性が登場しており女性の繊細な部分と力強さが美しくミックスされている。また洗練されており都会的、未来的である。
1枚の写真に複数の要素がミックスされ、より複雑化し魅力をましている。

Maurice Tabard(1897-1984)はフランス出身の写真家。20代で写真を始め、ファッション写真や、広告写真を多く手掛けている。フォトモンタージュ、ソラリゼーション、フォトグラムを多用した、シュルレアリスム系の作品が多い。彼の作品に惹かれるのはシュルレアリスム系の作品が多く、どこかマン・レイを感じさせる所があるからかもしれない。。






2012/10/26

fashion


Christian Dior 2013 S/S
9月に行われたRaf SimonsによるChristian Diorのショー
今回のテーマは「Liberation(解放)」このテーマは、ムッシュ・ディオールが最初に発表したルックに帰依している。1947年にメゾンが設立した当時は戦後直後で、物資も少なく女性達も配給されたコートを着て働いていた。そんな中、ムッシュ・ディオールはプリーツをつけ贅沢に生地を使ったスカートに、白いエレガントなジャケットのルックを発表。これは「女性は女性として美しく生きる事」というムッシュ・ディオールの想いがあり、それまでの女性達の劣悪な社会環境からの解放を意味していた。
このエピソードにラフ・シモンズが感銘を受け、出来たのが今回のコレクション。
シンプルかつモダン、ミニマムなスタイルでありながらも女性らしいシルエット。とても美しいコレクション。
その中でも最も目を引いたのが、こちらのルック
ブルーのメタリックオーガンジーを重ねたボリュームたっぷりの贅沢なフラワープリントのスカートとカシミアとシルクで出来たニットのトップス。首には帽子デザイナーのPhilip Treacyの大降りのスカーフ。ヘアも含め上半身をシンプルにまとめ、下はリッチに。素晴らしいバランス。


Fall 2012 Coutureのこちらのルックも気になります。同じく上半身をシンプルにまとめ、下にボリュームのあるシルエット。Coutureだけあって、美しく施された刺繍が素晴らしい!


こちらのルックが各マガジンで取り上げられているのでいくつかご紹介したいと思います。

Vogue Germany
 Model:Saskia de Brauw
photo: Daniel Jackson
stylist: Christine Arp

Another Magazine 
Model:Saskia de Brauw
Photo:Ruth Hogben
Stylist:Katie Shillingford

CR Fashion Book 
Model:Stef Van Der Laan
Photo:Luca Guadagnino
Stylist:Carine Roitfeld

同じルックでもこれだけイメージが変わると、別の物に見えてくる。。特にVogue GermanyAnother Magazineは同じSaskia de Brauwなのに。。とても面白い
CR Fashion Book のモデルは今注目の新人Stef Van Der Laan。デビューしてすぐにGivenchy F/W12のキャンペーンに選ばれており、Carine Roitfeldのお気に入りにのモデルの一人でもある。
今後の活躍に期待!!

2012/10/23

culture


無人島の教会
長崎県・五島列島の北東部に位置する南北6キロ、東西1.6キロの細長い島、野崎島。
1950年代中頃には650人以上が暮らしていたが、高度成長期の集団離村により急激に人口が減少、1990年代には全ての住民が島を離れ現在は無人島になっている。



この野崎島は江戸時代に、禁教令を受け、難を逃れた潜伏キリシタンが多く移り住んだ。
彼らによって造られたのがユネスコの世界遺産暫定リストにも選ばれている「野首教会」である。
設計・竣工はカトリック教会堂の建築を多くてがけた棟梁であり建築家の鉄川与助。のちに日本の教会建築に多大なる貢献をしたとして1959年に黄綬褒章、1967年に勲五等瑞宝章を授与されている。野首教会は鉄川与助の始めの教会建築になる。(鉄川与助自信は生涯仏教徒であった。)

野首教会は無人島となり廃墟と化した集落の中、小高い丘に毅然と建たずんでいる。その姿は圧巻である。
外観は美しい煉瓦造りで正面から見ると西欧の城砦を感じさせ、上から見ると瓦屋根とまさに西欧と日本の文化がミックスしている。教会建築が木造から煉瓦造りに変わる時期の建築物であり、その文化的価値も大きい。
また、この教会は内部もとても素晴らしく、窓にはステンドグラスが施されており、天井はアーチが美しいリブ・ヴォールト形式になっている。リブ・ヴォールトは、ゴシック建築の特徴的な天井形式で、代表的な物としてはパリのサント・シャペルなどがある。

野首教会の歴史は寛政の時代に、当初は木造教会を使用していたが、明治40年に本格的な教会建築に乗り出し、明治41年に現在の形になった。しかし、高度成長期と共に人々が島を去り、教会は無人となり荒れ果て美しかった煉瓦造りも崩壊していた。平成元年に長崎県指定有形文化財に指定され、今は当時の美しさを取り戻している。現在では小値賀町役場が管理しており申し込みを行えば内分を見学する事も出来る。
当時のキリシタン達はどんな想いでこの教会に集まっていたのか、、生まれ故郷を追われ、信仰の自由も奪われ、なけなしのお金を出しあって必死の想いで作った教会。今の時代に生まれた自分には想像する事しか出来ない、






2012/10/19

person


TIM WALKERの世界
現在ロンドンで開催されている「Tim Walker: Story Teller
彼の作品は非日常的で食卓が中に浮いていたり、赤ずきんがキツネ狩り、UFOなど現実とフィクションをミックスした不思議な空間になっており見る人の想像をかき立てる。彼のインスピレーションの元は、スクラップブックや、児童図書、映画、実体験などからきているそう。私たちにとっても身近な物を使っているから、違和感を感じつつも、どこか馴染みを覚え、ついつい見入ってしまうのだろうか?また、彼が唯一フルタイムでアシスタントとして付いたRichard Avedonの影響も大きいのでないだろうか?Richard Avedonの「写真」はとてもクリアでリアル、切れのあるエッジィなイメージ。彼の「作品」は遊び心のあるキュートなイメージ。バニーガールがいたり、像とモデルのショット、大蛇を使いモデルにキスをさせたりなど、非現実的な空間を作り出しいる。
Timの写真はクリアでありながらも、作り込まれた完璧な物というイメージ。写真もそうだが、その構成とアイデアが本当に素晴らしい。2人の作品を見比べるて見るのも面白い。

Tim Walker







Richard Avedon




2012/10/13

art


Gerhard Richter: Painting 2012

現代アートの巨匠Gerhard Richterの展示会が、Marian Goodman Galleryで行われている。
展示されている作品は全て、Gerhardの1990年に制作した一枚の作品「Abstract Painting 724-4」をコンピューター処理して作られている。縦12段、横幅を2分割、4分割、8分割と分割していき、切り取った絵の一部を反復させパターン化していく。段数が増えるほどに、反復される幅は狭くなり横のラインが強調される。Gerhard Richterは現在80歳という年齢であり長いキャリアがある中、今までの作品の概念を捨て、新しい手法(コンピューター処理)に挑戦する姿勢には感銘する。しかし、今回の展示会は賛否両論の声が聞かれる、、











これらの作品の制作プロセスは「Patterns」という一冊のハードカバーにまとめられており、800部のリミテッドエディションとして、シリアルナンバー入れで出版されている。221のパターンを246ページで紹介している。


MARIAN GOODMAN GALLERY

fashion

Black And Roses
Vogue Italia October 2012
Shot by: Tim Walker
Styling: Jacob K
Model: Kristen McMenamy